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コラム

「茉莉花-ピアノver.-」制作裏話

▶動画はこちら

2024年2月13日

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中国の民謡「茉莉花」をピアノソロでアレンジしました。制作裏話をお話しします。
また、2ページ目の⑷~⑹では演奏のポイントをお話ししています。
電子楽譜をご利用のかたのみならず、動画をご覧いただく際のポイントとしてもお読みいただけます。

目次

⑴どうした…

今回はまず動画を先にご覧いただきたく存じます。(動画はこちら

これまでのコラムや動画のとおり、自分が自他ともに認める変わった人であることは疑う余地のない周知の事実です。
それは音楽をはじめとする自分が生み出すものすべてに要素として普遍的に存在するのですが、

今回は違います。
変人の自分から生まれたとは自分自身で思えないほど、普通に穏やかでキレイなピアノアレンジが出来上がりました。

何が起こったのでしょう。
朽ち果て腐り散らかした中身の自分にキレイな部分があったわけではなく、原曲が持つ力がそうさせたのです。
ふざける気ゼロどころか、作り出してから完成するまで微塵もそういう気分になりませんでした。
中国風の音楽は自分に合っているのでアウェーではありませんしピアノもホームですから、アレンジ中に迷うことは一度もありませんでした。


⑵他国の民謡の著作権

「茉莉花」は中国では有名な民謡です。
出自は不詳ですが、昔の江蘇省で歌われていたとされます。
詞やメロディーは様々でしたが、のちに整理されて現代のバージョンが出来上がりました。
今回のアレンジでは現代版に従っています。

民謡というと古くからあるイメージが先行してPD(パブリックドメイン=著作権保護期間満了後の作品)と思われがちですが、中国の民謡はそうとは限りません。
いわゆる中国民謡の中には各地に伝わる歌を作曲家が音楽として構成した作品もあります。
たとえば中国民謡で有名な「草原情歌」はPDではありませんから、日本では著作権管理団体(JASRACなど)とサブ出版者を通じて楽曲利用手続きが必要です。
簡単に言ってしまえば、民謡であっても最近の楽曲と同じ手続きをしなければなりません。

また、オーケストラアレンジなどで一般的に耳にすることが多い「この曲と言えばこのアレンジ」というのも注意しなければなりません。
やりたいと思っている曲のひとつに「金蛇狂舞」というこれまた有名な曲があり、管弦楽では8割以上の確率で同じアレンジに出会います。
原曲自体はPDですが、このよく耳にするアレンジは別途登録され現在も著作権管理中です。
中には配信等を禁止している場合もありますので注意が必要です。

今回の「茉莉花」は原曲がPDでオリジナルアレンジですので上記2つの著作権問題は生じませんが、民謡だからと油断していると失敗します。


⑶中国語の観点から〈歌詞日訳〉

「茉莉花」という文字を見て、自分は単に中国語として理解していました。
今回アレンジするうえで調べて日本語に「マツリカ」という読み方があることを知りました。
マツリカといえばポケモンにそういうキャラがいたなぁ…と。(ポケモンの博士やリーダー格には植物の名前がついています)
ジャスミンの中でもアラビアジャスミンを指し、コンビニでも見かけるジャスミン茶の原料です。

動画には歌詞を表示していますが、繁体字にしました。
簡体字で表記すると、以下のようになります。

好一朵美丽的茉莉花
好一朵美丽的茉莉花
芬芳美丽满枝桠
又香又白人人夸
让我来将你摘下 送给别人家
茉莉花呀 茉莉花

音符を無視して(字余りこの上なし)日本語訳すると、

なんて美しい茉莉花だろうか
とても美しい茉莉花だ
枝は香り豊かで美しく
良い香りで白く 人々が褒める
あなたを摘んで 誰かのもとへ届けたい
茉莉花よ 茉莉花

のようになります。
最初の2行は全く同じ文章ですが敢えて違う訳にして、「一朵」(1輪)は省略しました。
中国語では数量詞が必須〔例:我要一杯咖啡。(コーヒー1杯ください)〕ですが、日本語では「コーヒーください」で通じますからね。


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